2022年5月2日月曜日

根岸病院分会NEWS 第25号


30をこえる声が組合に寄せられました

※今号ではA3病棟から寄せられた「意見書」(2~3頁)、
メッセージ(4頁目)を紹介します。

経営は現場の声を聴け!



意見書


 急なお便りをお許しください。

 まずは今回のA3病棟クラスターについて、医師・看護師・事務員、その他ご尽力いただいた全ての職員の方々に対して、A3病棟の職員として感謝申し上げます。皆様のご協力のおかげで、今回のクラスターもひとまずの収束を迎えることが出来ました。

 今回のクラスターについて、私の感想になりますが、陽性者の数が急激に増えていったことで対応が後手後手になってしまった印象を受けました。これはA3病棟の特色によるものが大きいと思っております。なぜならばA3病棟に入院されている患者様の多くは認知症であり、陽性者を隔離するということが困難でした。

 A3病棟には隔離室が2床しかなく、ベッドにて通路を塞ぐ、患者様にマスクをつけていただくなど、隔離蔓延防止措置を実践いたしました。しかし、患者様によってはそれを乗り越える・動かす、マスクも着けられず至近距離で話し合う、食事を他患者にあげてしまう。こういったことが現状でした。

 個人情報流失を防ぐため、具体的な人数は差し控えさせていただきますが、多い時には日に10人以上の陽性患者を出し、陽性者は急増し、最終的にはA3病棟のほぼ全ての患者様が陽性になってしまいました。蔓延を防ぐ目的で患者様によっては拘束を強いることもあり、最終的にはその人数は当時の入院患者の半数以上にも上ります。

 そして陽性になるのは患者だけではありません。職員の中にも陽性者が増え始まます。感染対策をしっかりしていてもです。認知症の方の中には自分の置かれている状況が理解できずにガウンを引っ張りずらし、咳エチケットが出来ない方も大勢います。むしろ入院されるほどの方ですからその様な方が大半です。職員の陽性者は10人以上にも上り、応援に来てくださった看護師の方からも陽性になった方がおられました。大変申し訳なく思います。

 そうなってくると必然一人当たりにかかる負担は大きくなるものです。どうでしょうか?
 普段よりも少ない人数で、普段とは違う業務内容に従事し、なおかつガウン・ゴーグル・
キャップ・手袋やマスクを何重にもして働くのです。点滴ですらいつものように取れません。感染対策のための装備を行った方ならば理解していただけるものとおもいますが、数分着けているだけでも苦しく、暑いものだと感じるでしょう。しかし、それは必要なことです。自分の身を守るためには。

 ところで、私は陽性になっていく職員が増えていく中でこのような言葉を耳にしました。

 「すごく大変。私も陽性になろうかしら。」

 もちろん会話の流れでこの発言が冗談であることは察することができました。そして職員の感染も徐々に落ち着いていきました。陽性になった方は特休という扱いになり、私の認識では有給休暇のようなものであると思っております。

 そして今回のA3病棟で発生したクラスターに対して、先日労働組合が提言した要求書への回答書を拝読させていただきました。そして回答の一部に“危険手当などは考えていない。”このような事が書かれていました。こんな事を言い出すと“がめつい奴だ”と思われてしまうことだと思いますが、私が心配しているのは陽性になった方と陰性のまま働き続けた方で大きな不平等が生じているということです。

 現在流行していると言われているオミクロン株はウイルスが上気道までしか侵入せず、重症化することが少ないとの話を耳にします。実際に陽性になった職員も、辛かったのは最初の数日ぐらいで後はなんとも無かった そういった方が大半だったようです。高齢者や持病のある方からすれば恐ろしい感染症かも知れませんが、現役世代や若年層にとってはそれほど恐ろしい病ではないのでしょう。全国の年代別ワクチン接種率を見てもそう思えます。

 コロナウイルスの感染収束は未だに見通せません。蔓延と収束は糾(あざな)える縄のごとく、ようやく落ち着いたと思ったら新たな変異株が生まれ、また感染するといったイタチごっこの様です。今はクラスターが落ち着きましたが、また株が変異して病棟クラスターが起こったらどうなるのでしょうか? それがまたA3病棟だったら? 今度は患者様を初めから全員拘束すれば蔓延を防ぐことは出来るでしょう。私が家族であれば納得できませんが。

 そしてクラスターになり、陽性職員と陰性職員で労働量に大きな格差が生じた場合、先ほどの冗談は冗談のままなのでしょうか? 気をつけていても陽性になるのです。自ら陽性になるのであればもっと簡単です。自ら陽性になるなんてモラルがなっていない。間違っているとしか言えません。しかし人間の感情としては間違っていない事のように思えます。そしてわざと陽性になった方を見つけるのは困難な事でしょう。働ける人間がいなくなっていった時の皺寄せは、きっと病院全体の負担となっていくのではないでしょうか?

 私は経営者ではありません。「何を勝手な」と思われるかもしれません。経営陣の皆様にも考えがあり、それは私には想像できない事でしょう。私程度の頭で思いつく事が手当てであって、経営陣の皆様であれば、もっと別に不平等を減らす為の良い方法も思い浮かぶのではないでしょうか?

 正直に言わせていただければ今回の回答は最後まで働き続けた職員にとってあまりにも惨い仕打ちであると感じます。

 私は小心者であって、このような匿名で好き勝手に言い連ねることをお許しください。回答は労働組合を通していただきたいと思っております。

 最後に労働組合を運営して下さっている皆様。このような機会を設けていただきありがとうございました。皆様の活動には賛否両論あると聞き及んでおります。しかし、私個人としてはとても感謝しております。労働者という存在は社会的に弱い立場にあります。経営陣にそのつもりはなくとも労働者側にとって不利な決まりごとも多く存在するでしょう。労働組合はそんな決まりごとに対する防波堤であると私は思います。その矢面に立って活動されている皆様はとても勇気のある方です。改めて感謝を。この意見書は皆様のお好きなように役立ててください。

 今後もより良い環境で患者様が過ごしていける事を願っております。

匿名職員より



そのほか、A3病棟から寄せられた意見を紹介します。

●防護服などがはじめから不足している状態(ゴーグルが足りない、⾧いグローブがないなど)で、スタッフの感染予防などできなかった。そのうえ医師は看護師の報告を受けて指示を出すのみで、直接診療をしていない。病院としてどうなのか。コロナ患者を直接ケアしているスタッフのことをつかいすてれば良いという考えに納得できない。また症状がなければPCRはおろか、抗原検査すらうけさせてもらえない状況で残されたスタッフの負担が大きすぎる。心のケアも必要なほどであるのに、危険手当もださないという考えに我々スタッフの扱いがあらわれている。
 他病棟からの支援者や、派遣労働者へも特別手当をだすなど、スタッフへの誠意をみせてほしい。

●危険手当がないと聞いておどろいています。毎日患者さんやスタッフが感染していく中、次は自分も感染するのでは、感染しているのではないかと毎日ストレスを多く感じました。根岸病院だから手当はでない。なんて事も聞きました。手当がでないのは病院に対する不信感が芽生えても仕方ないと思います。スタッフを大切にしていないんだなと思わざるをえません。手当ては出してほしいです。

●初動が遅かった。院の方針も2、3日してから決まった感じで、もっと準備しておくべきだった。やはり危険手当は必要だと思う。他病棟応援スタッフには必要、A3で残ったスタッフにも必要、PCR検査をしたかったです。働く上での当然の権利だと思います。症状があれば検査・・・では、感染拡大を未然に防げません。

 毎日、地獄のような環境下で働き、周りの人間が次々と感染していく恐怖の中で、心底疲れ果てました。危険手当が一切ないとは驚きを通りこし、悲しみを覚えます。職員を大切にできない病院は、患者さんにも優しくないだろうと毎日病院への不信感がつのります。まじめにがんばっている人たちが損をしない社会になってほしいです。

●子供がいるので、クリーンゾーンで働かせてもらいたかったが、人出不足もありかなりしんどかった。コロナにかかって休んでた方が楽だなと正直思った。応援に来てくれたスタッフには特に申しわけなかったので危険手当は出すべきだと思う。

●職員ではコロナになり後遺症が残った人もいる中で危険手当が全くないのはありえないと思う。私自身も連勤、連続での勤務変更等あり心身ともに疲れた。元々入っていた予定なども全てキャンセルになりストレスが正直溜まっている。少額もしくは特別休暇などの措置がせめてほしい。現状変わらないのは分かっていますが・・・

●ヘルプで来た人には手当てをつけてあげてほしい。ヘルプは当たり前ではない。リスクを負って来てくれて夜勤も出来なくなっていたので・・・何かあると必ず独身、前に居たからと理由になるけど、独身って逆に家に帰ったら一人になる。急変したとき、誰が気づくのか? 全部一人でやらないといけないのに、独身ってだけで選ばれてしまうのは不公平かな・・・

●職員旅行がない分の貯金を危険手当で出してほしいです。

●応援に来てくれた方、大変な時期に働いていたスタッフへキケン手当てを下さい。本当にきつかったので、このままではコロナにかかった方がマシだったのではないかとすら思ってしまいます。

●ヘルプ職員へ手当てをつけてあげて欲しい。今後誰もヘルプに行ってあげようと思わなくなってしまうので。

●今回のA3のクラスターを振り返って、今後病院側がどのように対応していくのかの具体的な案を出してもらいたいです。

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