2021年1月8日金曜日

根岸病院分会NEWS 号外

  都立病院の独法化
今すぐ撤回しろ


医療崩壊させたのは菅政権と小池都政だ


 菅首相は、1都3県を対象に「緊急事態宣言」を検討すると発表しました(早ければ7日にも発令)。
 東京都では大晦日に過去最大の1337人の感染を確認。入院患者は2995人(病床使用率85.6%)、重症患者は107人(病床使用率49.1%)(いずれも1月4日時点)、陽性率は12.9%(同3日時点)と、加速度的に増加しています。すでに始まっている医療崩壊がどこまで進むか、予断を許さない状況です。
 ここまで感染を拡大し、医療崩壊させてきた菅政権、小池都知事を絶対に許せません! 医療現場からの切実な警告を無視してGOTOキャンペーンを続け、医療・介護・福祉の社会保障を「ムダ」と切り捨ててきた。「命より金」の政治が今の事態を引き起こしたのです。
 私たちは、そうした国や都に独裁権限を与える「緊急事態宣言」には絶対反対です。罰則をふりかざし、店舗や労働者に責任を転嫁するなんて冗談ではありません。

「緊急事態宣言」うち破る独法化反対の声を

 矛盾が集中する医療現場から労働組合がストライキに立ち上がっています。医療崩壊をくいとめ、社会を変える力は「緊急事態宣言」をうち破る私たち労働者市民の闘いにあります。なにより今、「都立病院の独立行政法人化を白紙撤回しろ」の声を大きなうねりにすることが必要です。
 府中療育センターの旧施設を改修したコロナ専門病院は、当初100床で始めると言っていましたが、32床でスタートしました。人員が足りないからです。医師3人と看護師19人を8つの都立病院からかき集め、それでは足りずに、29人は感染症対応未経験の「小児総合医療センター」と「神経病院」から集めて開業しました。しかし、それで緊急時に対応できるのか? 夜勤体制は成り立つのか? そもそも、都立病院の労働組合である都庁職病院支部や同衛生局支部は、コロナ感染の当初から人員の拡充を要求してきましたが、都は無視してきました。その上、今度はパンク状態の都立病院から人員を引っこ抜いている。このことに医療現場は怒っているのです。
 都立病院の独立行政法人化を撤回に追い込むときです。「都立病院つぶすな」署名へのご協力、署名呼びかけ人が中心となった独法化反対の集会(下囲い、「緊急事態宣言」で変更あり)へのご参加をよろしくお願いします。

コロナ感染拡大下での都立
病院独法化を許さない!


2・21集会(仮)

2月21日(日)13時30分開始(予定)
すみだ産業会館サンライズホール
(JR「錦糸町駅」前丸井ビル8階)




コロナ禍でわかった医療の公的役割
都立病院を独法化してはならない


昨年10月25日、私たちは国分寺市内で「都立病院をつぶすな 医療従事者と住民のつどい」を開催しました。その中で、国分寺本町クリニックの杉井吉彦院⾧(写真上)が「公立病院と医療~民営化は何をもたらすか」と題して講演してくださいました。以下、要旨を掲載します。

医療危機は失政が招いた人災

 今年(昨年)の初めから医療問題が毎日の診療で突きつけられる状況が起きています。都立病院の独法化と国公立病院の廃止問題で全体的に医療が縮小し、公営が圧倒的になくなる中でコロナが起こり、矛盾が一挙に爆発しています。
 パンデミックが起こることは予測されていました。だが、国としてPCR検査を広げて、という感染症の基本をまったく日本ではできませんでした。それどころか、“経済を回すために”と感染を広げる政策をとっています。
 「補償のお金がない」と言って「お金を使うなら旅行に使え」と言う。医療の原則から言うと、まったく本末転倒です。その間に保健所の増員やPCR検査の拡充を積極的にやるべきでした。病院の人たちは血のにじむような努力をして治療しています。失策、失政によって起きた医療危機です。医者や看護師、医療関係者に対する保護がまったくなされていなかったことが一番の問題です。

コロナが突き出した医療の公的役割

 そういう中で、がんばったのは圧倒的に公立病院です。 民間のある病院は途中から後ろ向きになってしまいました。コロナ患者を受け入れてしまったら、院内感染を予防するために必死に努力しなければならないからです。胆石症や白内障など一般の手術も、その患者がコロナかどうかわからないから結局延期されました。病院の経営がダメになった。こういう時に、本来医療が持っている公的な一面が非常に重要だということがはっきりわかりました。
 都立病院ではクラスターはほとんど起こりませんでした。民間病院ではクラスターが起こりました。なぜかと言うと感染対策のお金がないからです。国立病院や都立病院はクラスターの発生が圧倒的に少ない。公的な補助ができているところにはクラスターが発生していない。公立病院の公的な側面がこれほど問われたことはなかったと思います。
 ここで問われたのは、いったい日本の医療はそれでも公的な病院を縮小・民営化するのかということです。
 独法化はすでに大阪とか全国で、とくに大阪で維新の橋下さんが進めてきた。それでコロナ対策もできず、クラスターが起きた。公的医療が大事なのです。
 医療は本来は予防です。癌だって、なる前にできるだけ早く検査して発見した方が医療的には絶対にいい。そのことがコロナに関してはできていない。

医療は社会保障=生存権

 なんでできないのか。GOTOトラベルで高級ホテルに泊まらせるカネがあっても検査をする金がない。自粛を要請しても補償はしない。わけのわからない状態。健康と命が守られる政治がないという状況が続いている。
 現在、日本では、病院や診療所も含めてかつてないほどの医療抑制、診療抑制が起こっています。病院でうつるかもしれないというのも確かにあります。でも、診療にお金をかけられない状況になったことが一番大きい。収入がなくなって。これも失政によって起こった事態なのです。
 社会保障は、医療・介護・年金・福祉全体の大きな枠です。その社会保障制度について、10月18日の世論調査で83%の人が「安心できない」と答えている。社会保障がまるで絶望的だということを示しています。非正規雇用の人が増え、制度が機能していない。
 社会保障とは生存権なんです。社会保障の法関係とは、国と国民の間に成立する。目的は憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」。社会保障の概念に「自助」「共助」なんてない。本当の意味で社会保障の危機が現在あります。

民営化は医療を腐らせる

 民営化するとなんでダメになるか。私は公的な病院で15年、開業して私的な病院で25年やってきました。公的な病院と民間の病院の一番の違いは、民間の場合、患者が減って経営的に苦しくなると、常に経営的にどうかと考えざるをえなくなることです。良心と自分の持っている技術と経営方針とのせめぎあいがいつも起こります。公的な病院の時に起こらなかった経営を前に出したときに、医療の腐りが出ます。医療に関しては、最終的には公的なものとして成立させるとしない限りは、こういう問題になってくると思います。
 大阪の例で分かるように、独立行政法人となった瞬間に、民間から寄付を募ったり、企業から金もらって薬をつくったり、医療技術的な低下、癒着が起こる。当たり前です。病院の経営だったらそう考える。そういうことが最もえげつない形で出てくるのが、医療の民営化です。
 したがって、民営化がいかに医療にとって悪いことなのかということを、何度もこの40年の医者の生活の中で非常に思ったということです。

ニュースへのリンク

2021年1月2日土曜日

根岸病院分会NEWS 第14号


2021年闘う新年の挨拶
生活できる賃金をかちとろう!
2021年、
根岸病院を命と生活を守る職場にしよう!

 年末年始の勤務お疲れ様です。再び感染爆発の状態に入り1日1000人超も時間の問題です。病院でのクラスターも頻発。根岸病院の隣には12月にコロナ専門病棟が開設され緊迫した事態が続きます。
 政治家は医療体制のひっ迫、行動の自粛を休業要請と声高に叫びますが、問題の本質はそこにあるのか。私たち医療労働者の労働環境・労働条件が劣悪な状態にあることが問題なのです。
 ボーナス(一時金)カットなど冗談ではありません。コロナ禍の中でこそ労働組合の闘いが必要です。根岸病院で働く全ての仲間へ、年頭にあたり多摩連帯ユニオン根岸病院分会から闘いのあいさつを届けます。

 
医療崩壊の原因は経済優先の菅政権にある

 感染拡大、医療崩壊の最大の原因は、安倍政権同様の菅政権の「命より金もうけ(経済)」を優先してきたこの社会のあり方にあります。コロナが医療崩壊を招いたのではありません。経済を優先するがゆえに、医療・介護・福祉の公的支出を「ムダ」と切り捨て、社会保障を徹底的に削減・縮小したことによって引き起こされた人災そのものです。

大阪・東京のコロナ専門病院の破綻的現実

 全国初のコロナ専門病院となった大阪市立十三(じゅうそう)市民病院では、医師・看護師ら20数人が離職し、計画通りに患者受け入れが進まない事態です。体外式膜型人工肺(ECMO)もなく、人工呼吸器も 2 台しかなく、院長が「うちには戦うすべがない」という状態です。現場を無視して、総合病院を場当たり的にコロナ専門病院に変えたことで感染症に対応できず、「まともな治療を行えない」と退職者が続出したのです。この破綻を作り出したのは、「維新の会」政治そのものです。橋下府政のもとで十三市民病院は独立行政法人化され、府立最大規模の看護専門学校は閉鎖に追い込まれました。看護師不足、医療崩壊は、公的医療を切り捨てたことによる結果です。
 東京もまったく同様の事態が進行しています。府中療育センターの旧施設を改修したコロナ専門病院も100床用意すると言っていましたが、32床でスタートしました。人員が足りないのです。医師3人と看護師19人を8つの都立病院からかき集め、当然足りずに、29人は感染症対応未経験の「小児総合医療センター」と「神経病院」から集めている事態です。これで緊急時に対応できるのか、夜勤体制は成り立つのか。
 都立病院の組合である都立病院病院支部は、コロナ感染の最初から人員の拡充を要求してきたが、都は無視し、すでにパンク状態の都立病院から人員を引っこ抜いていると怒っているのです。この医療崩壊の中で小池都知事は都立病院の独立行政法人化をあくまでも進めようとしています。必要なのは、「都立病院の独法化を止めろ」「独法化された公社病院を元に戻せ」の声を上げましょう。

根岸病院における冬季一時金のまやかしについて

 根岸病院でも全職員が昨年はコロナ感染と
対応しながら仕事に取り組んできました。昨年12月10日には冬季一時金が支給されました。掛け数は前年同様で基本給×2・98カ月です。掛け数は下がることもなく、2・98は他と比べても多いように感じるかもしれません。しかし基本給は他と比べても低く抑えられています。この基本給には、とんでもないまやかしがあることを明らかにします。
 根岸病院経営は1991年3月1日から初任給の大幅切り下げを強行しました。切り下げ額はとてつもなく大きく、最大で看護補助は月額58100円、准看護師は月額43980円、看護師は月額20970円という賃金破壊とも言える大攻撃でした。実に年で換算すると、補助さんは夏冬一時金含めて100万円近くが減額されたのです。2・98カ月といっても、その内実は大幅切り下げなのです。さらに派遣労働者には、雇用関係が派遣会社にあるということで、派遣先である根岸病院は一時金も退職金も保証しないという劣悪な労働条件なのです。
 2021年の春闘において賃金の大幅賃上げを経営に要求して闘いましょう。多摩連帯ユニオン根岸病院分会は本腰を入れて賃金闘争に立ち上がります。さらに、コロナ対応の安全対策も全く不十分です。安全対策で不安なことを組合へ集中していただけるようお願いします。

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